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OCW-G1100

― モジュール開発 編 ―

最先端の機能を搭載した GPSハイブリッド電波ソーラー。
その心臓部ともいわれる モジュールの開発秘話を、 3人の開発者に聞きました。

機能性の追求だけではない。
モジュール開発に課せられた使命とは。

—— フルメタルGPSハイブリッド電波ソーラーの第2弾として登場したOCW-G1100。
モジュールの開発はどのような形で行われたのでしょうか。

 小島: 一般的に時計の開発は、ケース、バンド、文字板などの外装と、時計の内部に搭載されるモジュール、2つの部門に大きく分けられます。
なかでも、OCW-G1100のような高機能アナログウオッチのモジュールは、針を動かすためのモーターやGPS衛星電波を受信するアンテナなど、様々なパーツで構成されています。
これを開発するにあたり、モジュール企画では、商品企画部で策定した商品コンセプトに基づき、モジュールの開発指針となる企画を立案するところから始まります。

長谷川: モジュールの開発方針が決まると、仕様設計では、針の動きやボタン、りゅうずの役割など、表示や操作に関するすべてのことを、細かく仕様書に落とし込んでいきます。
たとえば、時分針や小針は複数のモーター個別に駆動しており、それらをソフトで制御しますが、針の動かし方をひとつひとつ決定するのも仕様設計の大切な仕事です。

 斉藤: 実装開発では、モジュールに各部品を配置するための設計図を起こし、実際に実装して仕様通りの動きができるか検証します。
モーター駆動に必要な電力量は適正か、各パーツの強度は十分か、量産化に際し製造や組み立てに問題はないかなど、隅々まで細かくチェックしながら、モジュールを形にしていきます。
また、モジュールとしてのパフォーマンス向上を図るため、モーターやソーラーパネルなどの開発も行っています。

 小島: 完成したモジュールはアセンブル工程に移され、文字板や針の取り付け、ケース、バンド、風防ガラスの組み立てなどを経て、ようやく製品としての時計ができあがります。

モジュール開発部:小島 直モジュール開発部:小島 直

—— ひとつのモジュールを開発するのに、企画、仕様設計、実装開発と、
三者三様の役割があるのですね。

 小島: そうですね。しかし、チーム内での意思統一は、企画の段階でしっかりととられています。
今回のOCW-G1100でいうと、正確性、操作性、視認性を追求し、
世界でいちばん使いやすいワールドタイムウオッチを目指すというテーマを掲げており、
それぞれが同じ目標に向かって、技術やアイデアを結集する形で開発を進めました。

長谷川: 仕様担当として苦労したのは、操作性ですね。いかにストレスなく使えるか。と同時に、オシアナスらしいエレガントな表現力も盛り込んでいく。機能だけ追求するのであれば、針は瞬時に動いて、時刻を指すのがベスト。しかし、それではアナログウオッチとして味気ない。そこで生まれたのが、針の動きに表情を与えるというアイデアです。
自動車のウェルカムメーターのように、使う人をもてなす表現方法を取り入れました。

 小島: ワールドタイムの都市入替を行うと、インダイアルの針が高速で回転し、止まる直前にフッと速度を緩める。
ボタンを押したときのレスポンスの良さと、動作の終了を告げる余韻のある動きが、心地良いと思いませんか。

モジュール開発部:長谷川 幸佑モジュール開発部:長谷川 幸佑

6時側インダイアルの小針の動き

—— このような動きは、どこから発想されるのですか?

長谷川: 自動車のアクセルも、ターボ車とNA車では、加速のしかたが違ったりしますよね。
こういった身の回りにあるものから着想を得て、緩急のパターンを数え切れないくらい考えました。
時計の動きに関わる仕事をしているせいで、普段から動くものを観察するクセがついてしまって。
今回直接的なヒントになったのは、手元にあった小型の扇風機です。
電源OFFでピタッと停止するのではなく、しばらく惰性で動き続けるのを参考にしました。
 
また、感覚的な動きは、紙の仕様書で針の速度数値を示すだけでは、イメージがつかみにくいところがあります。
そこで、簡単なプログラムを組んで、デモ画面で直接針の動きを見てもらいました。
この方が、より完成形に近い形で提案することができるため、そこからの改善も効率化でき、結果的に完成度の高いものに仕上がりました。

開発段階のデモ画面

 小島: この針の動きを可能にしているのが、デュアルコイルモーターです。
実装開発室で、従来よりも高速で回転できるモーターを新たに開発してくれたおかげで、表現の幅が格段に広がりました。


アナログ表現の可能性を広げる。
デュアルコイルモーターはこうして生まれた。

—— 緩急のついた針の表現。 これを可能にしたのが、デュアルコイルモーターということですが、開発にはどのような経緯があったのでしょうか。

 斉藤: もともとはアナログウオッチのユーザビリティを向上するために開発を始めました。
ワールドタイムを表示する際、緩急の表現に使用するというアイデアは、OCW-G1100開発の際に出たものですね。
 
モーターというものは、サイズを大きくすれば性能が上がるのは当たり前です。
しかし、オシアナスのような多針クロノグラフで使用するには、モジュール内に複数のモーターを搭載するため、極限まで小型化が求められる。
なんとかムダのない構造で、高速回転できるモーターはできないかということで、試行錯誤を繰り返しました。
その結果、生まれたのが、デュアルコイルという発想でした。

デュアルコイルモーター(下端)デュアルコイルモーター(下端)

—— コイルを2つにすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 小島: オシアナスの針は各機能を表示する際、針が最短距離で移動できるよう正回転、逆回転の両方の動きをします。
しかし、従来のシングルコイルモーターでは、逆転させたときに正転の1/3程度しか速度が出ない。
一方、デュアルコイルの場合、どちらの回転でも同じスピードが出せるので、より瞬時に指針できるというメリットがあります。
今回は、このモーターをワールドタイム表示用として採用。従来に比べ、よりストレスなく時刻表示ができるようになりました。

長谷川: モーターのトップスピードが上がれば、高速時と低速時の回転速度の差も大きくなります。
この特性をうまく利用し針の動きをプログラム制御することで、さきほどお話しした緩急のある表現を実現しています。

 斉藤: また、特定のモデル用に開発したわけではなかったので、様々なモジュールに対応できるよう、形状も2タイプ用意しました。コイルを2対にしたスクエアタイプのものと、ひとつのパーツに2つのコイルを巻いたストレートタイプものです。
OCW-G1100には、ストレートタイプが使われています。

モジュール開発部:斉藤 雄太モジュール開発部:斉藤 雄太

新しく開発されたデュアルコイルモーター

スクエアタイプスクエアタイプ

ストレートタイプストレートタイプ

モジュール開発部:斉藤 雄太モジュール開発部:斉藤 雄太

—— 開発の段階で、実装まで見据えてバリエーションを用意していたと。

 斉藤: 実装の都合による仕様の変更は、なるべくしたくない。
機能やデザインのよさをそのまま形にするのが実装の使命だと思っています。
このモーターに関しても、メーカーとの折衝を重ね、試作品を評価するなど、手間も時間もかかりましたが、それに見合うだけの成果はあったと思っています。

 小島: デュアルコイルモーターが完成したときは、速さだけでなく、表現の可能性が広がるなという予感はしていました。
今回は緩急のある針の表現に使用しましたが、アイデア次第で活用方法はまだまだあるはず。
もともとデジタルで培ってきた技術を、アナログにどう活かすか。そこがモジュール開発の面白さなのだと思います。

治具に固定したモーター評価用モジュール。試作段階では、できるだけ多くのパターンの評価ができるよう、ぎっしりモーターを詰め込む。治具に固定したモーター評価用モジュール。試作段階では、できるだけ多くのパターンの評価ができるよう、ぎっしりモーターを詰め込む。


質感向上を技術とアイデアで支える。
新たな挑戦を、次なる進化へ。

—— OCW-G1100では、従来の遮光分散型ソーラーパネルから、さらに改善が加えられたそうですね。

 小島: モーターがユーザビリティ向上に貢献しているのに対し、文字板の質感向上に貢献しているのがソーラーパネルです。
遮光分散型ソーラーパネルは、針の影による発電ロスを複数のセルで分散させ、安定して高い電力量をキープできるのが特長。
ソーラーパネルの受光効率を上げることで、文字板の透過率が低くても十分な電力量が確保でき、文字板をより濃い色で発色よく見せることができます。
これも斉藤の開発によるもので、OCW-S3000ではじめて採用されました。

 斉藤: OCW-G1000では、GPS衛星電波受信に必要な電力量を確保するため、セルの数を8つに増やした大容量電池対応のソーラーパネルが使われています。
しかし、GPSアンテナの直上にあたる部分は、電波受信感度の問題から、有効受光面積として活用できていませんでした。
そこで、この課題を解決するべく取り組んだのが、新しい遮光分散型ソーラーパネルです。
 
最新型となる今回のパネルは、GPSアンテナ上のセルにクリアランスを施し、
受信感度を損なうことなく電力量を上げることに成功しました。
隙間の大きさやセルのつなぎ方など、電波受信感度を測定しながらベストな形状を模索。
この構造で、特許の出願も行っています。

OCW-G1000(左)とOCW-G1100の文字板の質感の違いOCW-G1100の遮光分散型ソーラーパネル(右)
OCW-G1000(左)より、受光面積が約24%向上した

 小島: 文字板透過率は、文字板の色だけでなく、立体パーツやプリントなどの加飾にも影響してきます。
その点、このソーラーパネルを使うことで、OCW-G1100では文字板の質感をさらに向上することが可能になりました。
オシアナスのブランドカラーであるブルーは、くっきりとした黒い文字板でこそ映える。
美しさという面で、ほかの時計に負けないクオリティに仕上がったと思います。

文字板の質感の違い。OCW-G1000(左)とOCW-G1100(右)文字板の質感の違い。OCW-G1000(左)とOCW-G1100(右)

 斉藤: モジュール開発部として、デザインという目に見える部分に貢献できたことはうれしいですね。
私は、何もないところから人を感動させるものを創る、デザインという仕事を尊敬しています。
だからこそ、彼らに喜んでもらえる仕事をしたい。
実装設計としてできることはまだまだあるはず。
ゆくゆくはカシオを誰もが認める世界でナンバーワンの時計メーカーにするのが夢ですね。
そのためには、これからもリスクを怖れずどんどんチャレンジしていくつもりです。

長谷川: チャレンジ精神がないと、次は生まれない。
現状でベストのものを作っても、やるべきことは次から次へと出てくるもの。
常に、今より高いレベルを目指していきたい。
OCW-G1100では、針の動きにこだわりました。
ぜひ、たくさんの人に、手にとって操作してみてほしいですね。

—— GPSハイブリッド電波ソーラーとしてユーザビリティの追求から、
ハイエンドモデルとしての質感の向上まで、モジュールが担う役割の大きさには驚くばかり。
メンバーひとりひとりの開発にかける熱意が、
アナログウオッチの価値観に新たな視点を与えてくれたような気がします。
とくに、ワールドタイムの使い勝手や独創的な針の表現は要注目。
日常から海外まで、幅広いシーンで使われる
GPSハイブリッド電波ソーラーだからこそ、世界に通用するこだわりを。
そんな開発陣の想いが息づいたOCW-G1100を、ぜひその手にとってお確かめください。

OCW-G1100の詳細を見る


モジュール開発部:小島 直

モジュール開発部
小島 直

ソフト設計を経て、モジュール企画に。タフムーブメントの開発などを手がける。入社のきっかけは、当時所有していたデータバンク。自分が欲しいと思う商品を作れる、自由な社風の会社だっからだとか。プライベートでは、剣道5段の腕前。オシアナスのコーディネートは、スーツやジャケットに合わせるのがおすすめ。思い入れのあるモデルは、はじめてモジュール企画として担当したS3000。

モジュール開発部:長谷川 幸佑

モジュール開発部
長谷川 幸佑

入社2年目でOCW-M700のソフト設計を担当。OCW-S3000から仕様に携わる。休日はキャンプ、料理、山登り、スノボなど、アウトドア全般を幅広くこなす。短パン、Tシャツでもオシアナスを着用するカジュアル志向の持ち主。タイドグラフ付きで、オシアナスが高機能化するきっかけとなったモデルに携わったことから、OCW-M700にもっとも思い入れがあるとのこと。

モジュール開発部:斉藤 雄太

モジュール開発部
斉藤 雄太

オシアナス開発歴は、OCW-T1000の評価から。モットーは「ほかの人にできないことをすること」。余裕があったらお金を払ってでもやりたいと言うほど、仕事が趣味。そのため、休日は思いっきり休む。メリハリの中でこそ、いい発想は生まれるのだという。思い入れのあるモデルは、遮光分散型ソーラーパネル採用のOCW-S3000。自分の考えがはじめて形になったというのが主な理由。


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