

ステイホームやテレワークの導入により、在宅勤務をする機会が増えている方も多いことであろう。新しい生活スタイルの中で“時間と空間”の在り方が問われている今、在宅勤務中のブレイクタイムもただの休憩と捉えるのではなく、次の作業に取り組むための充電時間として、より有意義に過ごしたいものである。そんなブレイクタイムを上質なひとときに変えるアイテムとしてコーヒーに着目し、その楽しみ方について、東京・銀座に店舗を構えるコーヒー豆専門店「TORIBA COFFEE(トリバコーヒー)」代表の鳥羽伸博氏にお話を伺った。
コーヒーの存在意義
TORIBA COFFEE代表・鳥羽伸博氏
「例えば朝、ヨーロッパ人がバールで一杯のエスプレッソを飲んでから仕事に向かう、アメリカ人がデリなどで買ったコーヒーを片手に会社に行く、日本人が家でコーヒーを飲んでから出掛けるといったように、コーヒーは毎日の習慣として存在している。だからこそ、コーヒーそのものの質というより、“コーヒータイム”自体が重要だと思っています。誰と一緒に、どんなシチュエーションで飲むかなど、あくまで主役は“人”で、それを引き立てるのがコーヒーであると捉えると、よりその時間を楽しめるのではないでしょうか」。
今や、多くの人にとって生活の一部として根ざしたものになっているコーヒー。ただ毎日飲むものだからこそ、なかなか違うものを試したり、淹れ方を変えてみたりすることは難しい。
「これまでは選択肢が2つあった場合、面倒臭いとか手間が掛かるからと楽な方を選びがちだったものが、格好良いからいいとか自分が満足できるから好きといった価値観を重要視する時代に変わってきていると思います。今まで当たり前に買って淹れていたコーヒーをちょっとだけ良いものにしてみる。一杯あたりで考えると大した差ではないんです。恐らく一杯あたり数十円高いコーヒーにしただけで、凄く美味しくなるはず。それに気づいてもらうタイミングが来たかなと感じています。安いコーヒーの魅力が無いわけではありませんが、ちょっと高いコーヒーを選んだだけで、喫茶店で数百円高いコーヒーを選ぶ以上に味の変化が分かると言いますか、今まで飲んでいたコーヒーが同じ飲み物なのかと衝撃を受けると思います」。
200種類以上とも言われるコーヒー豆の銘柄を、ストレートで選ぶのかブレンドするのか、浅炒りから深炒りまでどのように焙煎するのか、それをどのように挽いて淹れるのかなど掛け合わせていくと、その選択肢は無限にあると言ってもいいだろう。選ぶ際の基準について、聞いてみた。
「酸味の強いものが好きな人もいれば、深煎りのコーヒーが好きな人もいるように、味の好みは個々に違います。なので、こちらからこれは良いと押し付けるのではなく、自分の好みを自ら探して欲しいです。定点観測って、人間にとって大事なことだと思っています。その人ごとに自分の基準というものがあって、その基準に対して合っているのか、そうでないのかと考えるじゃないですか。定点観測として同じ方法やパターンで毎回淹れてみることで、自分の好みを見つけていく。好きな味だけではなく、きっと嫌な味というのを知っておく必要もあるでしょうし。それを家で楽しみながら、いくつかの好きなパターンが見つかれば、その人にとってコーヒーがより生活の中で意味が出てくると思いますし、食わず嫌いではなく試してみることで、人生の楽しみが増えるかもしれません」。
“誰が、どんな風に淹れても美味しいコーヒー”を目指し、世界中から集めた最高級のコーヒー豆を最適な焙煎で提供するTORIBA COFFEE。カップを事前に温めたり、お湯の温度を少し変えてみたり、ほんの少しの手間や工夫で、本格的な喫茶店にも負けないコーヒーを自宅で淹れる事ができるのだと言う。
「コーヒーには、味を決める淹れ方の要素というものがあります。まず、挽き目加減。細いほど味が濃くなっていきます。次にお湯の温度。これは抽出の効率の話で、温度が高いほど味が濃くなっていきます。最後は一杯に使う豆の量。多ければ多いほど味が濃くなっていきます。これらの要素のバランスを変えることで、コーヒーの味はかなり変わります。自分なりの方程式みたいなものを持つことも楽しいかもしれません」。
時間とコーヒーの関係性
“自分だけの基準”という価値観があることで、物は選びやすくなる。これは決してコーヒー選びに限ったことではないと語る鳥羽氏。
「時計も然りで、誰にとっても1秒や1分は平等にあります。ただ僕はスマートフォンの時間を見るのと、時計で時間を確認するのでは、きっと違うような気がしています。絶対に正確な時を刻むものを選ぶ人もいれば、着け心地を重視する人、ステータスを大切にする人もいるでしょう。それと同じ感覚だと思います。あとOCEANUSを身に着けている方は、きっとコーヒーの道具にもこだわるのではないでしょうか。男性として、間違いなく楽しみどころのひとつですよね」。
「そもそも人間って、本質的な情報とは全く関係のない情報に左右されたりしますよね。朝、夫婦喧嘩をした後に飲んだコーヒーは、いつもより美味しくないに違いない。そういう意味で、そのコーヒーの美味しさが自らの精神状態を計るバロメーターにもなり得ると思います」。
ブレイクタイムに“リセット”を求める人もいれば、“ホッと一息”を求める人もいる。主役である自分がコーヒーを飲みながら好きなように過ごすひとときは、自らを再認識する有意義な時間なのかもしれない。たかがコーヒー、されどコーヒーなのである。
Text: Tatsuya Nakamura |
TORIBA COFFEE 銀座店
コーヒーを楽しむ生活をイメージした店内で、気軽に楽しめるデイユースのコーヒーから大切な方々へのギフト、そしてコーヒーとの生活をもっと楽しめるように美しいコーヒーの道具やギフトへ添えるメッセージカードなどの様々な商品を取り揃えている。2階は焙煎機を設置し、世界中から届くコーヒー豆を最適な焙煎で提供。3階には最新のエスプレッソマシンや色々な方法でコーヒーを淹れる事を研究するラボもあり、不定期でコーヒー研究会なども計画している。
所在地:東京都中央区銀座7-8-13 Brown Place 1F
TEL:03-6274-6611
営業時間:月〜金 11:00〜21:00 / 土日祝 11:00〜19:00(不定休)
※新型コロナウイルスの影響で営業時間や定休日など変更がある場合がございます。
詳しくはTORIBA COFFEEのオフィシャルサイトをご確認ください。
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