

IoT、AI、クラウド、ブロックチェーン…。近頃、よく耳にするこれらのワードは生活や社会に大きな変革をもたらせると言われている。しかし、その実態は「便利」という程度にしか捉えられていないのではないか。
これらのデジタル技術が変えようとしている未来の実像とは何か。その最先端に位置するIBMのイノベーション・ディレクター、嶋田敬一郎氏から彼らの考える未来像を伺った。
「私がリードする“Digital Makers Lab.”は様々な技術開発で、コミュニケーションの可能性を拓こうとしていますが、それだけでなく多くの外部のパートナーと新しいプラットフォーム開発にも取り組んでいます。その中で、IoTやAI、IBMの持つ高度なアナリティックスやクラウドなどを活用しています」。
旧来のIBMのイメージとは異なり、デジタルを一つのツールとして、その先の仕事やライフスタイルの改革に取り組もうということだろう。
「その一つとして考えられるのは、スマートフォンを介すIoTです。今はスマートフォンの中に機能をどんどん追加されていますが、この先は部品の小型化や省電力化、さらに早い通信速度により機能は分散化され、それを介さなくても色々なことが可能になるでしょう。例えば、今までだとスマートフォンで歩数しか計れなかったのが、靴下が歩き方の癖を自動的に検知して、最適な歩行を物理的に補助できるようにするとか」。
これまでは、国や組織が起点となってマス向けのイノベーションが起こっていたが、これからは個人向けの最適化を考えなければならないということのかもしれない。
“ギグエコノミー”という新しい考え方
ギグエコノミー(GIG ECONOMY)。聞き覚えのなきフレーズだが、今後の鍵を握ると嶋田氏は語る。
「自分ごとで言えば、朝会社に出勤して、昼はサーフィンに行く、そして夜は講演や執筆の仕事をするとか。朝から晩まで一つの会社に勤めるのではなく、仕事自体が個人を起点に考えられる時代になるでしょう。そうすると、IoT、AI、クラウド、ブロックチェーンといったデジタルインフラが、そのバックグラウンドを大きく支えることになるのです。あらゆるデータを取得し、処理し、貯め込み、セキュアに流通させると言った循環ができるからこそ、そうした個人の発想が小さなコミュニティを作り、そのコミュニティの総和が国になって行くという時代が来るのではないかと考えています」。
デジタルのインフラは、個人を強化し、そこから始まる新しい時代の考え方が生まれるのだろう。
アナログの気持ち良さは普遍的
AIとIoTが組み合わされば、ホームセキュリティも自動化されたり、旅先から自宅の様子がわかったり、生活の中でも個人の気持ち良い温度や様々な趣味嗜好をストレスなく提供されるようになるだろう。
「そういった事実を積み重ねてビッグデータ化し、AIで処理され、クラウドで管理します。さらにブロックチェーンが背景にあるという時代がもう始まろうとしています。ただその原点にあるのは、個人の心地よさ=モチベーションだと考えます。日頃の生活にアナログの気持ち良さがあって、その背景にデジタルが機能するというのが理想です」。
アナログの心地良さの背景にデジタルが機能する。それはまさにOCEANUSが生まれた時からの理想型に他ならない。デジタルとアナログの会話のように。あくまでアナログとしてのフェイスを持ちながら、絶対精度という時計のなくてはならない基本機能をどこまでも高めるために存在するデジタル。OCEANUSは時代を先取りしつつ、変化する時代を確実に刻み続けようとしていることに他ならないと確信している。
Text: Y.Nag |
嶋田 敬一郎
1973年、アメリカ合衆国ニューヨーク州に生まれる。高校受験後単身来日、親元を離れる際に父親からもらった電子手帳の影響でテクノロジーに目覚め、大学卒業時の卒論は、まだ存在していなかったモバイルコマース市場について執筆。テクノロジーが切り開く未来に魅せられ、卒業後はパナソニック、ルーセントテクノロジー、サイバード、起業、電通を経て、2017年に日本IBMに転職。翌年4月にラボを設立、リーダーとして活動開始。
クライシスマネジメント分野で特許を保有する他、スタートアップ・メンター、エンジェル投資家として活動する傍ら、キーノート・スピーカーとして約30カ国・150講演以上実施。近年、先進市場のみならずブルガリア、ラトビア、レバノン、イラン等の次世代市場においてもテクノロジーのエバンジェリストとして活動に力を入れている。
New Year 2019 issue
ARCHIVES
OCEANUSの提案する
様々なコンテンツを
-
NEW2020.12.17
Time for Just the Two of Us
共に刻む、二人だけのManta Pair -
2020.11.26
Night Diving CACHALOT
都会の夜をクルーズする、P2000D -
2020.10.29
Japan Indigo Series
ブルーのルーツを探った藍モデル -
2020.9.24
New Relationship with OCEANUS
時計と人の新たな関係 -
2020.8.27
Punctual Life
“時”を再認識する時 -
2020.7.30
Interview with a Diver
海を愛する男が語る、カシャロの魅力 -
2020.6.25
OCEANUS LATEST LINEUP
オシアナスを選ぶ楽しみ、身に着ける喜び -
2020.5.28
OCEANUS×BRIEFING “T3000BRE”
ブリーフィング仕様のオシアナス -
2020.4.16
DIVER CACHALOT “P2000”
オシアナス、海の深淵へ -
2020.3.19
Living for a lifetime with OCEANUS
OCEANUSを支えるアフターサービス -
2020.2.13
Black Manta “S5000B”
個性を刺激する、美しく精悍な黒 -
2020.1.23
A Day in Tokyo with OCEANUS
オシアナスのある風景 -
2019.12.19
Back to Basic
15周年アニバーサリーモデル“T3000C” -
2019.11.21
Collaboration with OCEANUS
こだわりの物づくりが繋げる奇跡 -
2019.10.17
Brand New Manta
15年目のオシアナス“S5000D” -
2019.9.26
History of OCEANUS
オシアナス15年の軌跡 -
2019.8.29
Starting from Zero
オシアナス誕生物語 -
2019.7.18
OCEANUS Glossary
オシアナス用語集 -
2019.6.6
NEW Manta “S5000”
Vol.2 デザイン編 -
2019.5.23
NEW Manta “S5000”
Vol.1 テクノロジー編 -
2019.4.25
OCEANUS Connected
「OCEANUS専用アプリ」徹底ガイド -
March 2019 issue
ACTIVITY
一歩前へ -
New Year 2019 issue
TRANSITION
変化する時代へ