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BLUE MOTIONSAutumn 2018 issue
ROCK STEADY EYES
未来を見据える眼差し

Agriculture innovation

次世代・緑の革命は 静かに進行する

農業は人類にとって最古の仕事の一つであるのと同時に、生きていくために欠くべからざるものであるのは周知の事実だ。しかし、その進化は1940~60年代に緑の革命と呼ばれた、高収量品種の開発、化学肥料と農薬での大増産以降ほぼ止まっていると言える。
一方で、食の安心・安全に対する関心の高まりは、オーガニックをはじめとするナチュラルな食材への希求を生んでいる。
そんな中、次世代の緑の革命を起こそうとする動きが静かに始まっている。その最先端ともいうべきところにいるのが、<ベジタリア>の社長を務める小池 聡氏だ。
「1990年代の10年間はアメリカにいて、インターネット革命の黎明期からシリコンバレーを中心にネット事業開発やネット企業の投資・育成を行うベンチャーキャピタリストの仕事をしていたのですが、2000年代は、その経験を活かし日本にもネット時代を本格化させようという想いで日本に戻りネットベンチャーの投資・育成に努めました。立ち上げた会社も上場し10年前までは上場企業の社長として世界を奔走していました。そのような仕事をしていく中、人生100年時代の折返し地点の50代を前に、これからの人生をどう有意義に過ごすかと考えた時、これまでのIT業界とは一旦離れたいという想いが生まれました」。

ベジタリア株式会社 代表取締役社長 小池聡氏ベジタリア株式会社 代表取締役社長 小池聡氏

そこから農業へというシフトは意外という他ない。
「その頃、次の人生のテーマを見つけようと、東京大学が開設した社会人向けのビジネススクールEMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)に入学し、そこでまず興味をもったのが、健康。その源になるのが「医食同源」の食であり、その食を作る原点にある農業へと関心が向かいました。東京大学EMP修了後、まず、自分で農業をやってみようと農場を借り、自らがファーマーとなって野菜を育てることにしたのです」。

ところが小池氏はここで自然の厳しさを実感することになる。
「新しい農業を志す人の例に漏れず、自分も有機・自然栽培に挑戦したのですが、害虫や作物の病気に見舞われ散々な結果に。そこで、EMP時代の恩師、東京大学大学院農科学研究科教授で植物病理学の権威、難波成任先生から、様々な植物の病虫害に関する様々な研究成果を教えてもらいました。病害虫の発生メカニズムがわかれば、それをどう避けるかを考えればいいということになります。植物の病気の発生条件には日射、気温、湿度、葉面の濡れ、土壌水分や肥料の過多など様々な条件が重なり発生します。そのために地上や地中の環境計測ができる農業用センサーである「フィールドサーバ」を導入し、クラウドでデータ管理しながら病気になりにくい環境に農場を制御したり、予察することによって防除することにしました」。
その結果、健康で美味しく、しかも栄養価の高い野菜・果物の収穫が始まったのだという。

<ベジタリア>が提供する、水稲栽培に必要な水位、水温を自動で計測する水田センサ「パディウォッチ」。<ベジタリア>が提供する、水稲栽培に必要な水位、水温を自動で計測する水田センサ「パディウォッチ」。

進化は同時に深化をももたらす

「現在の農業は“経験”と“勘”と“匠の技”で成り立っていると言われています。“経験”でうまくできるということは必ず科学的根拠があるはずで“経験”を裏付ける“植物の生育や病気に関する科学的根拠”は近年急速に解明が進んでいます。“勘”に頼っていた部分もIoTセンサーの普及により“勘”を補う計測データを簡単にクラウドで管理できるようになってきました。また、“匠の技”は非常に有効ですが、条件が違えば使えない技も多く、環境データや栽培データをビッグデーター化し人口知能なども用いて解析することにより最適な栽培アルゴリズムを開発することも可能となってきます。テクノロジーはどう使うか、何に使うかという点を考えればいいというアイデアは、自分自身がIT業界の出身なのでシンプルに生まれました。これまで“勘”や“経験”、“匠の技”に頼っていたものを、“計測”や“科学的根拠”、“システム”などで補うことができるということです」。
こうして<ベジタリア>は単にITを駆使して農業を行うという会社ではなく、“科学とテクノロジーを駆使して、食と農と健康を科学する”ための組織へと進化を遂げ、さらに大きな未来へと向かい始めている。

<次世代・緑の革命>へと農業を進化させようとする動き。それは、食と健康に繋がるプリミティブで、言い換えればアナログな作業を科学やテクノロジーを駆使することで、より精度を高めていくことに他ならないだろう。
その視点で言えば、OCEANUSも同じくアナログ時計という時計の大基本を守りつつ、裏側で動くシステムは常に最新で、時計の最大目標である絶対精度への追求は止むことはない。<青の革新>。私たちがそう名付けたOCEANUSのコンセプトは、さらに次の時代を見据える志に他ならない。

Text: Y.Nag | Photography: Masashi Nagao

ベジタリア株式会社

最新の植物科学とテクノロジー(Vegetation Science&Technology)を 駆使して、農業生産の「次世代の緑の革命」を目指すとともに、生産、流通、物流、消費といったサプライチェーンをリデザインすることによって、持続可能な環境と健康社会の実現に向けて、農業とITの融合により農業の生産性や品質向上につながるソリューションを提供いたします。
URL:http://www.vegetalia.co.jp/