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BLUE MOTIONSEarly Summer 2018 issue
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未踏への一歩を

Encyclopedia OCEANUS #10

NEW Manta誕生秘話・前編

絶対精度の追求と独創のものづくりで、“21世紀のアナログ時計”と称されるOCEANUS。その中でもフラッグシップモデルとして、ブランドコンセプト“Elegance, Technology”を体現し、上質な仕上げと薄く美しいフォルムを追求するのが「Manta(マンタ)」である。最近ではGPSハイブリッド電波ソーラー、続くBluetooth®搭載GPS電波ソーラーの誕生により、新しいニュースの少ないMantaであったが、約3年振りにBluetooth®を搭載したNEWモデルとして、いよいよ帰ってくる!
それが6月8日に発売されるNEW Manta『OCW-S4000C』だ。

Bluetooth(R)搭載電波ソーラー『OCW-S4000C-1AJF』 ¥200,000+税 <世界限定1,500本>Bluetooth®搭載電波ソーラー『OCW-S4000C-1AJF』 ¥200,000+税 <世界限定1,500本>

独創のものづくり

“もっとも優雅なOCEANUS”として存在するMantaにとって、まず始めに注目すべき点は、そのデザイン性だろう。今回の『OCW-S4000C』は、伝統工芸士・堀口徹氏とのコラボレーションにより、江戸切子細工の技法を駆使したサファイアガラスベゼルを新たに開発した。
「OCEANUSはこれまでにも、色や素材にこだわった上質なブルー要素を開発してきましたが、リアルな日本伝統の技を入れられないか?という発想から、Mantaのエレガンスさと親和性がある切子ガラスに着眼し、その研究が2年前からスタートしました。しかし、そもそも硬いサファイアガラスが切子のホイールで削れるのかという問題もあり、まずは開発を共にしてくれる切子職人さんを探し始めました」。
そう語るのは、今回のデザインを担当したカシオ デザイン企画部の藤原陽氏。そして直接自分たちで探す中で、堀口氏の存在を知ることとなる。堀口氏の作風が、OCEANUSの先進性や都会的な感覚と結びつき、この人なら!と確信したという。当の堀口氏は、どう思ったのだろうか。
「江戸切子を選んでいただいたこと自体はもの凄く嬉しいですし、カシオさんのような会社からオファーをいただけば、当然やりたいですよ。ただコラボとか共同で製作をするとなった時、結果的に良い見せ方や落とし所に辿り着かなかった場合は、お互いが不幸になると思うんです。なので、最初から“必ずやります”ということではなく、これはいけると判断できた段階で製品化として進めさせてくださいとお願いしました。また、これは思っていたのと違うなとなったら、勇気を持ってやめましょう、とも」。
いよいよ堀口氏も加わり、順風満帆に進むかと思いきや、ここで切子デザインについて大きな問題にぶつかる。
「最初の頃は江戸切子の伝統柄にこだわりすぎて、時計というより工芸品の世界になってしまい、OCEANUSらしさを見失いかけ、まとまらない時期がありました。しかし堀口さんより、都会的で洗練されたデザインもある事を教わり、OCEANUS本来のイメージデザインで突き進むことができたのです」。

何度も繰り返された、切子のテストサンプル。デザインが決定するまで約5ヶ月を要することとなる。何度も繰り返された、切子のテストサンプル。デザインが決定するまで約5ヶ月を要することとなる。

伝統と先進の必然たる出会い

完成されたデザインは、伝統文様「千筋」を不連続なパターンにアレンジしたもので、朝日が水面に反射する東京の夜明けをイメージしている。江戸切子というと、いわゆる斜線などが組み合わされた複雑なものを想像しがちであるが、このシンプルなデザインも江戸切子のひとつの形なのだ。そのデザインをもとに、堀口氏が一つひとつ個体差が出ないようにハンドメイドでカッティングを施していく。
「関わらせていただく中で、OCEANUSの持つイメージに共感できたこと。そして自分の技術をこのMantaに落とし込んだ最終的な形がイメージできたことが、やはり大きかったです。通常、割り出しの行程(下準備として切子の目印をつける)はカットする本人がおこなうのですが、今回は私ではなく、他のメーカーの方にやっていただきました。これが凄く肝で、結構な回数の打ち合わせで対話を重ねるうちに、このやり方だったら精度が出せるかなと感じるようになっていきました。個体差が出ないことが一番重要ですからね。根気強く話し合いを重ねさせていただいた、おかげだと思っています」。

完成されたサファイアガラスベゼル。シンプルながらもOCEANUSらしいスタイリッシュなデザイン。完成されたサファイアガラスベゼル。シンプルながらもOCEANUSらしいスタイリッシュなデザイン。

時計が求める精度、それは1/100mm。しかし藤原氏は手作り品である以上、多少のばらつきは“味”として仕方のないことだと思っていた。そんなとき、堀口氏は険しい表情で、“私は機械のように削りたいんです”と語ったという。実際にカットされて上がってきたものは、まるで工業製品かのような想像を超える精度を実現している。
求められる以上のものを形にすることで、驚きを与え、魅了する。そんな堀口氏の、職人としてのプライドや伝統の技。ここにもOCEANUSが求める絶対精度があったのだ。
こうしてサファイアガラスベゼルは完成したのであった。

次回は「NEW Manta誕生秘話・後編」として、先進の着色技術による新たなOCEANUSブルーができるまで、そしてスマートフォンリンクに対応した革新のデジタル技術などについてお届けします。お楽しみに。

Text: BM編集部 | Photography: Masashi Nagao