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OCW-S3400 デザイン・外装設計 編 | CASIO

OCW-S3400

― デザイン・外装設計 編 ―

さらなる薄型化とユーザビリティの追求を 実現したOCW-S3400。
エレガントなスタイリングを 生み出すデザインと外装設計、 両者の挑戦の軌跡を追います。

誰もが待ち望んだ進化と、
想像しえなかった進化。

—— 

マンタシリーズとして約2年ぶりの新作。
ファン待望のOCW-S3400がいよいよ発売となります。
気になるデザインの裏側についてお聞きしました。

白石:

OCW-S3400製品化の背景には、時計業界でGPS対応の商品に注目が集まるなか、流行に左右されずしっかりと進化することこそ、マンタシリーズの使命であるという想いがあります。
とくにデビュー以来、マンタを愛用していただき、新作の登場を心待ちにしているファンのために、いち早くマンタの新しい姿をお見せしなくてはという気持ちから、デザインサイドの先行開発という形で製品化がスタートしました。

鈴木:

10年来続くユーザーの期待を裏切るわけにはいきませんからね。
同時に、新しいマンタシリーズとして、いい意味でユーザーの期待を裏切る新たなチャレンジもしなければなりません。

白石:

マンタシリーズは、デザイン要素の強い商品です。
そのため、開発の初期段階からチタンでモックアップを作成し、各部門へ提案を行いました。
全体のボリューム感をつかむため、3Dプリンタや切削機でモックを作る場合もありますが、今回は質感などの表現も重要視していたので、より完成イメージに近い形まで作り込んでいます。

デザイン開発部:白石 俊也

—— 

デザインを進めるうえでは、どのようなコンセプトがあったのでしょうか。

白石:

チーム内で「ラウンドブライトネス」というテーマを掲げ、伸びやかで柔らかい輝きを放つ、優雅な姿を目指しました。
さらなる薄型化とフェイスの立体表現という、相反するチャレンジから生まれたコンセプトですね。

形状をスリムにすると、どうしても顔の表情まで薄いものになってしまう。
OCW-S3000でも立体フェイスには取り組みましたが、今回は別の方向性でエレガンスを表現してみたかった。
より直線的でスポーティな印象から、立体的な曲面を特長とする上質感へ。
前作を超えるというより、まったく新たな可能性に挑戦したのがOCW-S3400です。

鈴木:

基本的なレイアウトも、OCW-S3000が王道の三ツ目スタイルだったのに対し、OCW-S3400では変則的なダイアル配置を採用しています。
また、文字板の中で最も特長的なのが、ラウンド形状のインデックスです。

白石:

12時側にのみローマンインデックスを使用することで、キーアイコンとしての存在感を出しながら、全体のイメージとしてはシンプルに仕上げることにこだわりました。
シンプルといっても簡素という意味ではなく、落ち着きやおおらかさを感じさせるシンプルです。

初期段階のラフスケッチ

時字が印象的な文字板デザイン

伸びやかに、柔らかく。
ラウンドインデックスの耀き。

—— 

文字板でひときわ輝きを放つインデックス。
ラウンド形状は、どのようなアイデアから生まれたのでしょうか。

白石:

ラウンド形状の発想は、まさにマンタ伝統のシルエットが元になっています。
薄さの中にしっかりと存在感を持った姿、伸びやかでシャープなイメージをフェイスにも取り入れてみようと思ったのがきっかけです。

こだわったのは、ラウンドの曲率ですね。
まず3Dでラフスケッチを起こし、そのあと数種類のダミーで、光の反射具合などを検証しました。
曲率が小さいと、輝きにクセが出てしまい、デザインもかわいらしいものになってしまう。
逆に曲率が大きすぎると直線のものと変わらなくなる。
バランスを見極め、最終的にはR20mmのものを選んでいます。

鈴木:

トップに挽き目が入り、サイドがミラー面になっているのも特長です。
最初にこの形を見たときは、途方に暮れました。
こんな複雑なものを、どうやって作ればいいのだろうと。
もちろん、コストをかければ出来ないことはないのですが、外装設計としては、取り付け方法も含め、量産化を考えて図面を起こさなければなりません。

白石:

しかも、側面にミラー面を持つ「X」の造形を、一体型のまま削り出しで作るのは技術的に困難であることがわかりました。

鈴木:

そこで、たどり着いたのが山形カシオの精密加工技術です。
精度の高い切削技術により、細かい挽き目や平滑度の高いミラー面まで再現した金型を作成。
この金型で成型した部品に、スパッタリングでシルバーの着色を施し、金属調の質感を出しています。
一体構造でここまでのクオリティに仕上げるのは、相当高いレベルの技術が要求されます。

外装開発部:鈴木 純一郎

ラウンド時字

ラウンド時字の曲率評価サンプル

シルバーの色味サンプル

—— 

シャープな面構成と美しいシルバー色がマッチしていますね。

白石:

シルバーの色味もいろいろ検証し、ラウンドの輝きが一番美しく見えるものを選んでいます。
今までにない立体感を持つインデックスに仕上がったと思います。
一方、限定モデル(OCW-S3400C)では、ピンクゴールドのインデックスを採用しています。

鈴木:

パーツの製造という面では、なんとか目処が立ったものの、今度は、これらを文字板の正確な位置に取り付けるのに苦労しました。
文字板の組み立ては、時字やインダイアルリングなど、すべての加飾パーツを一度に取り付けるのですが、この工程にはかなりの精度が求められます。

そこで、精密な組み立てを専門に行う、山形カシオのPremium Production Lineで工程や品質を管理。
試行錯誤を繰り返し、ようやく製品化を実現することができました。

限定モデル OCW-S3400C

マンタシリーズの存在意義。
さらなる薄型化への挑戦。

—— 

マンタといえばスリムデザイン。
薄型化に関しては、どのような取り組みがあったのでしょうか。

白石:

OCW-S3400でも、マンタシリーズとしてさらなる薄型化を目指すという基本姿勢は変わっていません。
開発チームの全体の共通認識として、デザイン、外装設計でも薄型化に取り組みました。

鈴木:

今回は、ケース厚10.7mm(OCW-S3000は11.6mm)を達成しましたが、これには薄型モジュールの開発が大きな役割を果たしています。
しかし、モジュールがいくら薄くなっても、ケースが薄くならないと意味がない。
しかも、過去の担当者の努力の積み重ねで、薄さの限界を極めたマンタシリーズを、さらに薄くするのは至難の業です。
考え方を抜本的に変えないと薄型化できそうにない。

そこで見直したのが、りゅうずの構造です。
従来の構造では、パイプ内でシャフトをフロートさせ、外部からの直接衝撃を防いでいました。
一方、OCW-S3400ではパイプ径を極限まで細くするかわりに、りゅうずをOリングで複数点支持することで、衝撃と気密に強い構造を実現。
簡単にいうと、りゅうずの軸を通す穴を細くすることで、ケース厚を薄くしたということになります。
この構造で特許を出願中です。

(左)OCW-S3400 (右)OCW-S3000

ケース厚10.7mmのスリムデザイン

—— 

ほかにも、デザイン、外装設計で薄型化に貢献していることはありますか。

鈴木:

裏蓋に64チタンという素材を使用しています。
純チタンよりも強度があるので、薄くしても必要な強度が保てる。
しかも、電波受信感度への影響が少なくなるというメリットもあります。

白石:

デザインによる視覚効果でも薄型化に貢献しています。フェイスをより大口径化したのも、時計全体を薄く見せるための工夫のひとつ。
ベゼルもさらに細くし、よりワイドに見えるように配慮しています。

64チタン裏蓋

—— 

ケースの薄型化が進むと、横から見たときの印象も変わります。
ケースデザインにも影響が出そうですが。

白石:

もちろん、あらゆる角度からの見え方を考えて、ケースもデザインしています。
今回は、ラグ部分のミラー面にこだわりました。
より大きなスペースに磨きをかけることで、サイドビューからのスリム感を強調しています。

鈴木:

ザラツ研磨で平滑な面に仕上げるのですが、チタン素材でここまで大きな面を研磨するには、非常に高度な技術が必要となります。
手間はかかりますが、それだけの価値はありますね。

白石:

一方で、マンタのアイデンティティとして、あえて踏襲したデザインもあります。
たとえば、ミラーのラインが1本入ったバンド。
チーム内ではマンタテイルバンドと呼んでいますが、このバンドに愛着のあるユーザーが意外と多い。
また、多角形のベゼルもそうですね。
守るべきところと、変えるべきところ。
そのバランス感覚が求められるのがマンタシリーズのデザインですね。

ラグ部分のミラー面

—— 

今までと違うオーラを放ちながらも、いつもと同じ雰囲気も醸し出す。
ブランドイメージが定着、浸透した商品をデザインする際の難しさが少しわかったような気がします。
さらなる薄型化を果たしたエレガントなスリムデザインと、ワイドフェイスに独特の存在感を放つラウンド時字を採用したOCW-S3400。
マンタシリーズの歴史に、新たな1ページを刻むモデルとして、愛好家だけでなく、新たなファンを生み出す一本となりそうです。

商品企画 編

デザイン開発部
白石 俊也

マンタ初代モデルOCW-S1000からデザインに参加。バイクや車は、イタリア製がお気に入り。そのデザイン感覚は、日々の仕事にも活きているという。出かけるときはOCW-M700のブラックモデルを着用。思い入れのあるモデルは、今できるすべてを注ぎ込んだ自信作OCW-S3400。細部だけでなく、全体的な雰囲気や存在感を楽しんでほしいとのこと。

モジュール開発 編

外装開発部
鈴木 純一郎

OCW-T2500から外装設計を担当。デザインの白石氏とは、社内バスケ部のチームメイト同士。気心が知れていることもあり、仕事上でのコミュニケーションもスムーズなのだとか。プライベートではメタル時計オンリー。思い入れのあるモデルはOCW-S3400。自分が担当したということを差し引いてもカッコイイ。たくさんの方に、軽さ、質感、美しさを、手にとって感じてほしいとのこと。

商品企画 編

開発者インタビュー

モジュール開発 編

商品企画 編

デザイン・外装設計 編

モジュール開発 編

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