Skip to Content
苦悩の先に広がるデザインの大海原
OCEANUS開発者はかく語る Vol.2

苦悩の先に広がるデザインの大海原
OCEANUS開発者はかく語る Vol.2

限界への挑戦が進化への鍵

直径わずか40mmほどの小宇宙に込める想いを静かに熱くぶつけ合い、ジャパンメイドの誇りとして存在する OCEANUS。そこには決して欠かす事の出来ない、開発に携わる技術者の強いこだわりがある。
そこで今回、普段あまり触れる事のないデザインに関する貴重な話を、カシオ計算機 時計事業部 デザイン開発部の矢田部孝司氏に話を聞いた。

「スポーティなアナログ腕時計は山ほど市場にありました。そこにカシオが参入するにあたり、今までに無い新たなジャンルを切り拓く必要がありました。そこで差別化を図るために、ラインナップを通してスポーティな中に“エレガンス”を加えたデザインをテクノロジーで表現することでオリジナリティを出してきました」。
エレガンスをテクノロジーで表現する。そこにはどのような思惑があり、そして実現するためにどれだけの苦労があるのだろうか。
「最初からこういう色がいいとか、このデザインがいいとか、デザイン開発が先行して決められるものではありません。外装開発やモジュール開発の担当者達と話を詰めていく中でどうしてもバランスを取らなくてはいけませんし、テクノロジー面での新規性を追求する必要もあります。その中で各モデルの世界観を加味しながら進めていくのが難しくもあり、面白いところですね」。
そこにはきっと、モジュール、デザイン、外装の専門家たちによる、我々には到底分からないせめぎ合いがあるのであろう。

三者でキャッチボールをしながら同じ方向に進んでいく事は容易でないはず。各々のこだわりをぶつけ合いながら、落とし所をどれだけ高みに持っていけるか。進化を義務づけられている以上、相当ギリギリまで追い込んでいると想像できる。

精密なスケッチを元に具現化を目指す

オシアナスだけの青

「そもそもクロノグラフはスポーティなので、そこにデザイン性がないとスポーティさが全面に出てしまい、エレガンスという部分が薄くなってしまいます。そこでブルーIPや時字、ベゼルの所で使っている蒸着、ブルーサファイアといったように、テクノロジーを使って上質感とオシアナスだけの“青”を創造しています」。

一言で“青”と言っても様々なレンジの青がある。OCEANUSのブランドカラーである“青”の基準とは一体なんなのか、そして理想の青に近づけるための苦悩とは。
「時代と共に移り変わる場合もあれば、技術的に出せなかった“青”もあります。基本的には、青の中央値を決めてから各部署と話し合いで落とし所を決めていきます。特にG1100のベゼルで使用する青色の出し方は、非常に難しかったです。試作段階では本番で使用する透明のサファイアを使用する事がどうしても出来ないので、アクリルや平板ガラスで代用します。そうすると、量産時との色の違いが出てきてしまう部分があり、とても大変で悩みました。さらに偏光の事も考えなくてはいけなくて、自然光や室内で様々な照明を使いテストを繰り返し、試作時と量産時の差をなくす為、気が遠くなるような作業を重ねました」。

時計事業部 デザイン開発部 矢田部孝司

仕上がりを左右する、デザイナーの世界観とは

「私がデザインを担当した OCW-G1100というモデルは、“AIRGLOW”という地球を取り巻く大気に太陽光が差し込むことで地球の輪郭が青く光る、“大気光”をイメージしています。その大まかなイメージを、どう具現化して表現するか。他社では無いくらいに時字を高くして立体感を出してみたり、その他にも様々な細かい事を重ね合わせて世界観を作り上げていきます。地球のミニチュア版というだけではなく、カシオのハイエンドモデルとしてのクオリティ、高級感は徹底して追求しました」。

エレガンスだけではなくスポーティなだけでもない。ましてや高級感だけ漂っていても、OCEANUSの開発者は納得がいかなかったのだ。その全てを最大公約数で追求することで、この芸術とも言えるべく逸品を完成させたのだと感じた。

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Masashi Nagao

Recent News

Recommend