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瑠璃を知るほどに、深く湯を楽しむ
南部鉄瓶の[平丸アラレ]

瑠璃を知るほどに、深く湯を楽しむ
南部鉄瓶の[平丸アラレ]

寒い冬になると、いつも祖母の傍の火鉢の上で、湯気を吹いていた鉄瓶を思い出す。今ではあまり見かけることがなくなってしまったが…。鉄瓶の一番の手入れ方法は“使い続けること”にあるという。沸かし続けることで、徐々に内側に湯垢が付着していき、柔らかく驚くほど甘味な湯になるのだ。内側にサビ止め加工をしていることで手入れをしなくてよい、便利なヤカンや急須には出せない利点である。そしてもう一つ。湯を沸かすことで鉄瓶から鉄が溶け出し、鉄分補給にも効果的であるという。年月を掛けて鉄瓶を育てる行為が、今の道具にはない利点を我々にもたらしてくれるというわけだ。

今回紹介するのは、岩手県を代表する伝統工芸品で、約400年もの歴史を持つ“南部鉄器”。この鉄瓶は、従来の漆黒のものとは違い、現代のライフスタイルにも合うデザインが目を引く逸品。そして何と言っても、この美しい瑠璃色。約1500℃の真っ赤に溶けた鉄を鋳型に流し込み作る南部鉄器、最初は赤く溶けた鉄が冷めて固まっていく300~250℃くらいまで冷めた時に、青みがかった色を発色するというが、その瞬間の色は作り手にしか見ることのできない儚い色であった。その色を再現し、多くの方にその美しさを感じてもらいたいとの想いから、この“瑠璃色”が誕生したのだという。さらに直火、IH調理器、炭火等、熱源を問わずに使えるのも、現代に生きる我々にとっては有り難い仕様である。

変化の激しい現代社会の中で、昔見た“湯を沸かす”という行為に癒しを求める。その心の余裕が、質の高い日常を我々に与えてくれるのかもしれない。それは、正確な時を刻むオシアナスが与えてくれる、安心感の青と同じように。

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Masashi Nagao

有限会社南部アイアン・クラフト | 03-6280-4133

オフィシャルサイト

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