Skip to Content

時を知り、時を忘れる場所
バーテンダーが手解く、BARの楽しみ方

時を知り、時を忘れる場所
バーテンダーが手解く、BARの楽しみ方

「行きつけのBARがある」。そのフレーズにはどこかしっかりとした大人の立ち位置を感じるものだ。あくまでもオーセンティックなBARに限るのだが。
しかし実際はどうだろう?お店に入る事さえ躊躇してはいないだろうか。入ったとしてもBARでの正しい過ごし方を熟知しているだろうか。
そこで今回はそんなBARに対する先入観を取り払うべく、六本木にある“BAR B.B.”のバーテンダー山田武善氏に、BARでの流儀をご教授願った。

「よくお客様からも聞かれるのが、どうやってBARでの時間を過ごしたら良いのかという事。今、お酒ってどこでも飲めますよね。居酒屋、バル、または自宅と、お酒自体はかなり気軽なものになっていると思うのです。そんな数ある選択肢の中、BARに足を運んで下さっている時点でひとつ目のハードルは超えていると思います」。
そこで、なぜあえてBARを選ぶのか。
「私どもはお客様に対し、上質な時間を演出させていただくのが、BARでありバーテンダーだと思っています。どういう意味かと申しますと、美味しいお酒とそれに見合う空間、バーテンダーの技術、美しいグラスやカトラリーに触れて素敵な時間を過ごしてもらい、少しだけでも日常を忘れていただくのが、私の中のBARのコンセプトなのです。ですので、そのような時間をお客様に過ごしていただけたら嬉しいですね」。
そういった意味では、BARはただ単に酔っ払う場所ではないという事なのであろう。
「単なる酔っ払いと、上品な酒呑みを隔てるルールが、BARには存在します。ただ酔うだけなら、どんな所でも出来る訳です。それはそれで、明日の活力になるのは間違いないでしょう。あえて、BARという空間で過ごしていただく方には、非日常の中に身を委ねていただけるよう最善の努力を致します。せっかく来ていただいているのに、オン/オフの切り替えが出来なかったら意味がないと思うのです。忙しい毎日だからこそ、何もしない贅沢な時間を過ごす。そんなところもBARならではなのかなと思います」。

BAR B.B.のオーナーであり、バーテンダーの山田武善氏

BARの入り口の扉が重いのは、非日常への入り口だからなのかもしれない

「私達バーテンダーですら、初めて行く店の扉を開けるのは緊張しますから。そう考えると、慣れていないお客様がBARの敷居を高く感じるのは仕方のないことかもしれません」。
どんなお酒を頼むべきなのか。
「アドバイスとしては、なるべくなら最初の一杯を来店前に決めておくと、より楽しめるのではないかと。ほんの少しカクテルやお酒の知識を入れておくことで、グラスが自分の前に出されるまでのワクワク感が違ってくるのです。例えばジントニックを注文するとします。そこに予備知識があるだけで、“ジンってこんなに沢山の種類があるんだ”とか、“お店によってジンの銘柄が違うんだ”とか、“氷の形や大きさが異なるのか”とちょっとした事に気付けるので、よりBARでの空間を良質に過ごせると思います。そういう意味では、どこの店にもあるようなスタンダードなお酒やカクテルは間違いないと思います。逆にお酒に詳しくない場合は、バーテンダーとのやり取りの中からお好みにあった物を提案させていただくので、安心して来店して欲しいですね。やはり気負ってしまうと、扉はより重く感じると思います(笑)」。

ジンをベースに、爽快な青空をイメージしたカクテル“スカイラウンジ”

BARに隠れたルールは存在するのか

「BAR で扱っているグラスは繊細で美しく、高価な物が多いので、乾杯の時にグラスとグラスを合わせることはやめた方がいいです。その衝撃で欠けてしまうなんて事も起こりうるので、そこはお客様に気を使っていただけると助かります。あとは、カウンターに並んでいるボトルを見たかったら、バーテンダーに了承を得てからの方がいいですね。グラスの中のお酒はお客様のものでも、ボトルはお店のものですから。勝手に栓を開けて嗅ぐような行為は避けてもらいたいですね。それぞれのBARの見えないルールのようなものはあるでしょうが、基本的にはお酒を楽しみ、自由に日常から離れていただいていいと思います。ただ他のお客様への気遣いを少ししていただければ良いのです。なにしろ、このBARへは本を読みにいらっしゃる方もいるくらいですから」。

BARに感じていた敷居の高さとは、自らが持つお酒や立ち振舞に対しての知識、経験の少なさゆえの不安だったのだろうと今回のお話を聞いて感じた。もてなしのプロであるバーテンダーを信頼し、頼ることでより身近な存在に変わっていき、そして常連へと自らが成長すべきなのかもしれない。
日常から離れ、時間を忘れる場所としてのBAR。その時には一旦OCEANUSを腕から外すのもいいかもしれない。そして、また腕にOCEANUSを纏い日常に還る。その切り替えを見事に出来る男でありたいと願うのであった。

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Masashi Nagao

山田武善

愛知県出身。西麻布のレストラン・バーを経て
2000年より南青山『Bar Radio』にて勤務 尾崎浩司氏に師事
2008年7月 六本木 『BAR B.B.』をオープン

BAR B.B.

東京都港区六本木 5-2-11 パティオ六本木ビル B1

電話:03-3408-7612

営業時間:19時~4時

定休日:年中無休

ウェブサイト

Recent News

Recommend