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アートとデザインの境界から
世界と日本の接点を知る
アーティスト/コンダクター・オブ・デザイン
川上シュン氏

アートとデザインの境界から
世界と日本の接点を知る
アーティスト/コンダクター・オブ・デザイン 川上シュン氏

インタビューに指定されたのは、川上氏が新しくオープンさせた“artless craft tea & coffee”でだ。なぜアートディレクターがカフェを?

「カフェがやりたいというのだけではなく、今、空間をどう作るかにとても興味があって、その流れで一緒に仕事をすることになった建築系の方とシェアオフィスを作ろうと。ただオフィスではなく、自分が今とても興味がある“お茶”をテーマにできたらと考えたのが、このカフェなのです」。
なぜお茶に興味がわいたのか、その秘密はひょっとすると川上氏のクリエイティブに対するスタンスにそのルーツを見ることができる。

「僕はいわゆるアートの専門教育は受けていなくて、最初に興味があったのが建築やインテリアでその延長にグラフィックデザインがあり、WEBがあった感じです。その意味で、このカフェは空間を作ってみるという自分自身の興味の原点への回帰でもあるし、今の僕のプレゼンテーションでもあると考えています」。
そしてお茶。
「お茶は今自分も習っていて、茶道という究極の美意識をどう日常に持ってこれるかに興味があるのです。それも仕事の流れも含めて京都と関わりを持つようになったことも大きいですね」。

ここで少し川上氏の紹介をしておこう。アートディレクターとして数々の企業やサービスのロゴをはじめとするグラフィックデザインからWEB、必要とあらば空間デザインのアートディレクションまでをトータルにこなす。一貫したブランディングを得意とし、日本だけでなく海外でも数多くの賞を受賞するなど、高い評価を得ている。そのデザインには美学があり、彼のデザインと一目でわかるものも少なくなく、そのデザインのファンも多くいるという。

exhibition of art & design: “shun kawakami + artless inc.”

「アートディレクターという仕事の中で、表現の幅をどう広げるのかという課題があり、そんな中で自分のためだけにアート作品を作り始めました。そのきっかけとなったのが皇居の“松”だったんです」。

“794-1185”(special print on original wood paper)

世界一美しいとされる皇居の“松”からのインスピレーション。
「そこが出発点となり、松を使った作品作りを続ける中で、日本的とは何かを深く追求し始めました。まともに海外と勝負するには、僕たちは日本とは何か、日本人としてデザインにどう向かうかを知らなければならないという思いが募り、どんどん深みにはまっていったのです」。
その結果として、京都にまでオフィスを作ることになる。
「僕自身は深川の4代目ですし、生粋の江戸っ子という意識がありつつ、数百年という時間をかけて完成されている京都文化というのを自分自身の中で融合することで新しい表現が生まれることを期待しています」。

会話の中に何度か登場する“興味があって”というフレーズが川上氏を象徴しているのでは。何かを積み重ねるのではなく、自分の直感に従ってクリエイションをスタートし、さらに興味を重ねつつその直感の原点を探る。川上氏の思考経路はあくまで柔軟でありつつ、どこか“オタク”的でもあるように感じた。

「肩書きや、ポジションとかの何かに縛られてクリエイションをするのではなく、あくまでも自分の直感に従うようにしていきたいですね。そんな中で見つけた日本的というか、自分の中に生まれた日本の美意識を現代的な形で生み出していくこと。願わくば、僕の作り出したものが100年後も生き残り続けて欲しいと思うのです」。

日本的であること。時空を超える感覚。その左腕におさまったOCEANUSは川上氏とともにどんな時間を刻んでいくのだろうか。
「僕は基本的にアナログ好きなのですが、この文字板には共感できる何かがありますね。すごく多機能なのに、ことさらにそれを主張しない。ある意味での奥ゆかしさの美学があるように思います」。

メイド・イン・ジャパンとしての共通する佇まい。日本を意識することで世界へとジャンプする感覚。川上氏の感性にOCEANUSはどこまで応えられるだろうか。

Text: Y.Nag | Photography: Masashi Nagao

川上 シュン
[artless Inc. 代表]

アーティスト/コンダクター・オブ・デザイン

1977年、東京都深川生まれ。artless Inc. 代表。「アートとデザイン」を横断的に考え、安土桃山時代を中心とする水墨画、茶の湯、盆栽、建築など、高度に洗練された「日本独自の美的理念」へ回帰し ながらも、2000年以降、急速にデジタル化した「デザインとテクノロジー」との融合により生まれる新たな美の形成を追求している。

世界中の30歳以下の優れたアートディレクター50名を選出する「NY ADC: Young Gun 6」から、Web界のアカデミー賞と称されるThe Webby Awardを受賞など国内外で多数の受賞歴を持つ。

オフィシャルホームページ

artless craft tea & coffee

営業時間: 11:00~20:00

住所: 〒150-0001 東京都 渋谷区神宮前3-21-16 1F

定休日: 火・水

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