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能力を一点突破し、全面展開する時代へ
株式会社セイタロウデザイン代表/アートディレクター
山崎晴太郎氏

能力を一点突破し、全面展開する時代へ
株式会社セイタロウデザイン代表/アートディレクター
山崎晴太郎氏

金沢~古民家~タイポグラフィの謎

金沢の“ひがし茶屋街”にほど近い町家に、一風変わった書店がある。国内外のタイポグラフィ関係の書籍を専門に扱う「serif s(セリフエス)」というギャラリー兼ブックストアだ。
「ここは元々“南陽堂書店”という本屋さんがあった場所なのですが、金沢出身のスタッフがいてこの街に来た時の偶然の出会いもあり、ここで何かをやろうと閃いた感じでスタートしました」。

そう語るのは山崎晴太郎氏。彼のユニークネスを象徴するのが、彼の経営する会社名だ。“セイタロウデザイン”。自らの名を冠するデザイン会社と言っていいのだろうか?そう疑問符をつけるのには訳がある。
「基本的にはアートディレクションなのですが、その範囲がいわゆるグラフィックだけでもなく、建築、プロダクトデザイン、街づくり、それとWEBやデジタル、ラジオ番組のパーソナリティもやっています。あ、それから東証マザースに最近上場した鋳造と3Dプリンタの会社、JMCの取締役もやっています(笑)」。

まさにジャンルを問わない、フィールドを限定しないのが彼の特徴だ。
「書店を経営しようという風に考えていたのではなく、そこに書店があることが素敵だと思えたから始めた。そんな感じでしょうか。それも自分自身が最も興味のあるタイポグラフィックス専門でと考えたわけで、自分としては極めて自然な流れでした」。
とはいえ、金沢で築100年は超えるという古町家をリノベーションしてのスタートにはそれなりに勝算があったのだろうか。
「いや、完全に趣味でした。ただ南陽堂書店という、今はないけれど、ここにかつてあった書店の意思を紡いでいけるというストーリーに惹かれました。建築の勉強をしていたこともあって、スクラップ&ビルトではなく、元々ある素材を活かしながら歴史を前進させることに興味があり、それにはこの物件がぴったりだったのです」。

その多才さは、どこから来るのか

立教大学で写真を専攻し映像に興味を持ち、その流れでニューヨークフィルムアカデミーにも留学。その後、京都造形芸術大学大学院に進み、建築を勉強する。
「その時に興味があることに向かって行くのですが、一見、統一性が無いようにも思いますが、自分の中ではなぜか一貫している。それでも30歳になった頃に、自分なりの“美”を追求しようと思い立ち、華道と水墨画を習い始めましたね」。
その華道もすでに小原流の師範科に籍をおき、水墨画は、いつでも個展を開けるほどの腕前だ。

「生花も器や床の間との関係などを考えますよね。そう考えると、いちばん大きな美の器としての家があり、さらに、その集合としての街がある。そういう風に考えて行くと、総合芸術としてのデザインを考えたくなるんです。グラフィックという部分だけでなく、美しさを統合していくという観点で。そのためにはチームプレイも必要だし、もっと色々なことに挑戦していきたいと思っています。その第一歩が、今年ヨーロッパにも支店というか、事務所を開設することになりました。たまたま縁のあるスタッフがいたので、それじゃぁやってみようとなったんです。金沢の時も出身のスタッフがいたし、結局そういった人の繋がりを大事にして、そのきっかけに乗るという感じでしょうか。ヨーロッパに関しては、今までやって来たこと、これからやりたいことが世界でどう評価され、通用するのかを試したいという気持ちもあります」。

その思い切りの良さは、若さによる単に思い切りの良さや無謀さでは無い。山崎氏ならではのスタンスの軽さと流れを掴む能力によるのではないだろうか。
一つのことにこだわるのではなく、引いて見る才能を感じた。

そんなマルチな才能を発揮する山崎氏の目に、OCEANUSはどう映ったのだろうか。
「パッと見は、僕向きでは無いなという印象でした。ところが手に取ると、メカニカルなのに重くない。それは、文字板のデザインにしても計算されていて、グラフィックとしてもさり気ないけど上手い。そもそも自分たちクリエイティブ系の人間は時間にルーズなところがあるけれど、OCEANUSの正確無比な時間が、自分の背筋を伸ばしてくれるような感じもあります。これからヨーロッパとの行き来が増えるだけに、グローバルで活躍してくれる、頼れる相棒という感じですね」。

次に山崎氏に会う時に、どんな進化を遂げているのか。そして相棒としてのOCEANUSがその真価を見届けていることが楽しみでならない。

Text: Y.Nag | Photography: Masashi Nagao

山崎晴太郎 (やまざき せいたろう)

株式会社セイタロウデザイン代表、
アートディレクター、デザイナー
株式会社JMC取締役
medicalture plus デザインディレクター

82年生まれ。横浜出身。立教大学卒。PRエージェンシーを経て2008年独立。株式会社セイタロウデザインを設立。企業のデザインブランディングやプロモーション設計を中心に、グラフィック、WEB・建築・プロダクトと多様なチャネルのアートディレクションおよびデザインワークを幅広く手がける。2012年よりラジオパーソナリティーとしての活動を開始。FRANZ COLLECTION日本人初のコラボレーションデザイナー。
Design For Asia Award、IF Packaging Design Award、Ad stars、グッドデザイン賞金賞他、国内外の受賞多数。
FRANZ AWARD 2013やグッドデザイン賞のゲスト審査委員も務める。

オフィシャルサイト

株式会社セイタロウデザイン

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