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BLUE MOTIONSWinter 2017 issue
PURSUIT OF QUALITY
追求する心

Encyclopedia OCEANUS #7

絶対精度を 追求する
OCEANUSの 聖地・ 山形カシオ

今回BLUE MOTIONSチームは、OCEANUSの生地であり聖地、山形カシオの工場へと向かった。3回の連載により、これまでエンサイクロペディアでご紹介したモデルたちが生まれる現場の事実をリアルにお伝えすることにした。

部品からの一貫生産というMade In Japanの誇り

OCEANUSだけでなくCASIOのフラッグシップモデルの製造を一手に担うのが、山形カシオだ。東根市に位置するこの工場は、その厳しい環境にも関わらず、時計生産設備としては他の追従を許さないほどの、高精度かつ独自の生産ラインを持っている。
「最大の特徴は、ムーブメントをはじめとした多くの部品を自社工場で生産しているということです」。
実はこの事実は稀有なことなのだ。ミクロン単位の精密な部品を自社で作るためには、超高精度な金型の製造に始まり、精密加工もとことん追求しなければならない。多くのメーカーが部品は外注することが多いことを考えれば、部品からの一貫生産を貫き通すということは実に多くの努力と研究が必要になる。
「そのための技術者の養成と同時に、デジタル技術を取り入れ、可能な限りの精度の追求を行い、人とテクノロジーの融合を目指しています」。
ここ山形カシオで時計の生産を統轄する土田取締役は語る。人とテクノロジーの融合、その象徴となるのがPPL(Premium Production Line)と呼ばれる山形カシオ独自の生産ラインだ。

山形カシオ 取締役 土田啓一氏山形カシオ 取締役 土田啓一氏

人とテクノロジーの高次元での融合=PPL

PPL=プレミアム・プロダクション・ラインは、その名の通りCASIOの時計ラインアップの中でもOCEANUSを筆頭とするフラッグシップモデルの組み立てを行う。ロボットによるアッセンブリー、それも自社設計による精密ロボットでの組み立てを経て、メダリスト(メダリストには階級がある)と呼ばれる組み立て担当の熟練工たちが精度の極みを追求していく。しかもこの工程は見学が可能だという。

「この工場は世界にあるCASIOの工場の中でも国内生産にこだわる工場です。それだけに、最新のテクノロジーを駆使しつつメダリストたちの“手”による最終仕上げで、私たちが目指す“人が使う機械”としての時計のあるべき精度を追求していくのです。いわば、テクノロジーとクラフトマンシップの融合というのが、私たちの目指すところでもあります」。
それは、秒針が指し示す位置の絶対精度であり、ベルトのフィット感でもある。
「一つのフロアでこの流れを作るだけでなく、この山形カシオの工場で、部品を金型から設計・製作を行い、パーツ成形、基板実装、組み立て、もちろん印刷まで全てがここで完結します。その上、各工程では最先端のセンシング技術を駆使して検査し、クオリティと精度を追求します。ロボットなどの設備の開発も羽村(カシオ計算機 羽村技術センター)で設計をするなどCASIO独自で行っています。その結果、OCEANUSのNewモデルの設計デザインも自由度が高く行えるというわけです。羽村からの無理難題も多くありますが、そこを解決するのが我々生産現場の使命だと思っています」。
力強く、答える土田取締役。
「さらに、来年には時計専門の新工場屋が完成します。ここにPPLのラインを移し、さらに精度の高い時計づくりが可能になると考えています」。
止まるところを知らない絶対精度への追求。それが生まれるのがこの山形カシオ工場だと言えるのだ。

精密加工を行う高精度ロボットも自社開発されている。精密加工を行う高精度ロボットも自社開発されている。

マザーファクトリーという自負

CASIOの工場の中でもこの山形カシオは“マザー ファクトリー”と位置付けられている。
「この山形工場は、全てのCASIOの工場のリーディングファクトリーとしての役割を担っていて、自動化技術、感性のデジタル化、高精度加工技術、仮想検証技術、伝承技術という5つの目標に集約されています。これは、ここ以外の全てのCASIOの工場の範となるべく追求する目標です。マザーファクトリーとしてのプライドのためにも、この5つの目標を進化させつつ、CASIOのものづくりを牽引したいと考えています」。
この山形カシオ福士社長の言葉の通り、さらに進化を続けるだろう。

山形カシオ 代表取締役社長 福士 卓氏山形カシオ 代表取締役社長 福士 卓氏

東北の地、山形にあって、世界に通じるもの作りを行うという山形カシオ工場。そこは、OCEANUSの生まれ故郷であると同時に、「青の革新」が進む場所でもある。さらに新工場屋が完成すれば、革新の到達点はもっと高いものになるのではないか。そんな期待が潜む静かなるマザーファクトリーだった。
カシオの持つデジタル先端テクノロジーと、何よりも、ここで働く人々、技術者、メダリスト、彼らの職人的な技巧が“21世紀のアナログ時計”としてのOCEANUSを育て、その凛とした佇まいを生み出しているのだ。
次回からは、さらに深く、専門知識と熟練工、精密機器という精鋭たちにより組み立てられ、全数検査した上で出荷されるという、この工場が持つ底知れない技術力を紐解いていきたいと思う。

Text: Y.Nag | Photography: Kentaro Ohama