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BLUE MOTIONSJuly 2017 issue
BY THE SEA
海と暮らすということ

Next Wave

なぜ人は 海辺の暮らしに 魅せられるのか

富山英輔氏(ライター/編集者)

近年、東京在住者に限らず湘南へ移住を考えている人が多くなっているという。もちろん、サーフィンを始めとするマリンスポーツを生活に取り込んでいるからという理由がある人も多いが、それだけではない気がする。
海の近くで暮らすということ。そこにどんな魅力があるのだろうか。OCEANUSは、その名に海の神を冠するだけにその深層を探るべく湘南へと向かった。
今回、この現象を語っていただくのは、この地に長く暮らし、“湘南のライフスタイル”を全国区へと知らしめたと我々が考える、編集者の富山英輔氏。 湘南の地で彼にお話を伺った。

「ロサンゼルスにはマリブ、ニューヨークにはロングアイランドなど、大都市の近くにはビーチタウンがある。そう考えれば、日本においての湘南は世界有数の大都市、東京と一体の海辺の町ということになります」。
事実、都心までの移動時間は1時間弱。十分に通勤圏と言える。
「僕自身も仕事の中心は湘南ですが、週に2、3回は東京に出かけます。時間的にちっとも苦になりませんね。それ以上に、この海の近くに生活の拠点を置くことのメリットの方が大きいと思うのです」。

そのメリットとは何か。富山氏の見事な説に我々は唸るしかなかった。
「海に向かうと何も遮るものがない。そこからの風、空、匂いを感じる。まさに自然を全身で感じることができるのが、海の大きな魅力でしょう。風が止んだ、潮が満ちてきた、といった自然のサイクルを、インターネットやメディアからの情報なしでダイレクトに感じられるのが、ここでの暮らしです。大人たちが、またサーフィンに戻ってきているのも、より身体で自然を体感するためではないでしょうか」。
都会では忘れられがちな自然を日々感じることの大事さ。そこが海辺での暮らしの中心にあるのだ。
「ただ、サーフィンの神様と崇められるジェリー・ロペスも言っていますが、“海で感じたこと、海から学んだことを陸の生活に活かすのが、サーフィンの一つのゴール”だと。 そうやって五感で自然を感じられるようになれば、都会にいてもその中にある微かな自然を感じられるようになるはずです」。
忘れていた人としての自然を感じる感覚。そこへの回帰が人を海辺での暮らしへと向かわせるのだろう。

ライフスタイルとしてのサーフィン

富山氏は、新しい雑誌<サーフマガジン>を創刊された。
「長く続いていたサーフィン専門誌が休刊したというのがきっかけなのですが、自分自身、編集者を長く続けてきて、インディペンデントに、よりコミュニティに根ざした雑誌づくりができないかと考え、仲間たちと創刊しました」。
一度<サーフマガジン>を手にとっていただければ、そのクオリティの高さに驚くはずだ。そこにはサーフィン=若者というイメージとはかけ離れた、大人のライフスタイルとしてのサーフィンが在る。

富山氏が手がける<SURF MAGAZINE>創刊号Vol.1とVol.2富山氏が手がける<SURF MAGAZINE>創刊号Vol.1とVol.2

「僕自身が35年以上もサーフィンをやってきて、仲間たちも大人になってもサーフィンを続けている。そうやって生活の一部としてサーフィンを楽しむことができるようになったことを伝えたいですね。みんなきちんと仕事をしているし、でも一方で、海の中では地位も年齢も関係ない。地球と一個人の関係になれるんです。それは先程もお話した、海での生活とも共通しているのですが、自分の生活をどう組み立てるかという課題にも繋がります。自然の側で暮らすことで、身につく感覚を活かしていくということです。サーフィンもその一つ。イタリアだとサーフィンよりもヨットだし、逗子に行けばマリーナがあるし、海での生活のバリエーションも実は多様にあるんです。その中で、自分にふさわしい海辺の生活を見つけられればいいのではないでしょうか」。
その場にいた誰もが、海辺での暮らしに思いを馳せたことは間違いない。

「自分自身、世界の様々なサーフスポットを旅します。そんな時、この時計のワールドタイムの機能は、きっと自分と世界の繋がりを明確にしてくれるでしょう」。
全ての話が自然体であることの重要性を物語る富山氏。その腕に収まるOCEANUSは富山氏と世界の海を旅するのだろう。

次週Vol.3では「Marine Life」と題し、富山氏がもう一つのマリンライフを紹介。お楽しみに。

Text: Y. Nag | Photography: Shinsuke Kamioka

富山英輔 (とみやまえいすけ)

1965年生まれ。海辺のライフスタイルとサーフィンを主なテーマに活動するライター・編集者。1998年に創刊された湘南のライフスタイル誌『湘南スタイルmagazine』では創刊以来19年間にわたり編集長を務めた。昨年、出版社、株式会社トレスクリエイティブを立ち上げ、今年4月にSURF MAGAZINEを創刊。著書に『サーファー真木蔵人』『湘南の暮らしと家』など。自らの編集・制作会社、有限会社ETクリエーション代表。鎌倉市在住

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